
2017年9月初旬、株式会社大三オフセットはオフライン印刷物検査装置コレクトアイ SISの導入と運用を開始した。
顧客からの印刷品質のニーズが年々上がっており、目視だけで検査を行う時代ではないと感じたことをきっかけに機械による検査の取り組みを考慮し始め、それから何年かが経過した。
しかし、その当時は「検査スピード」に理想とのギャップがあった。市場にあったいかなる検査機も検査に必要な時間がかかりすぎていたのだ。理想とマッチした検査機を探し続けていたところ、2017年2月の東京で行われたPAGE展でコレクトアイ SISが発表された。
検査スピードは大三オフセットにとって納得のいくものであり、さらにその発表の直後、ある大手印刷会社がコレクトアイ SISを導入したことも相まって、大三オフセットはコレクトアイ SISの導入を決定した。
左:渡辺生産管理部長 右:鳥羽取締役社長
美しく、価値ある印刷物のため、それが導入の理由
〜印刷機機長が誇りをもって印刷機を回すために〜
通常、「コレクトアイ SIS」の導入を検討する際にまず初めに挙げられるのが、導入することによる目に見える効果だ。
それは大抵の場合「人件費」で評価されることが多い。つまりは人員削減だ。実際に、既存コレクトアイ SISユーザーは人件費削減に成功している。
しかし、大三オフセットにとって重要なポイントはそこではない。重要なのはあくまで「美しく、価値のある印刷物」のためであり、さらには印刷機機長のためでもある。
「印刷機機長は、美しい印刷物を刷ることに誇りに印刷機を回していた。しかし、最近では肉眼では見えるか見えないかのようなゴミ、汚れを発見することが品質管理の最も重要な作業となり、機長の精神的な負担になっていた。この負担を軽減し、美しい印刷物を刷る楽しさを取り戻すためには、人の目ではない機械による検査の目が必要だった。」と鳥羽社長は言う。
CorrectEye SISの導入前の検査は1つの印刷機に2人体制で目視検査を行なっていた。
現在はCorrectEye SISを3人目の検査員として、2人の検査をサポートしている。とは言え、検査にかかる時間は今までの2人体制と同じ時間で終わらせることができている。
つまり、検査時間は変わらないが機械による新しい第3の検査の目が追加され、さらに機長の負担が軽減され品質向上に成功した形だ。実際、印刷機機長からのCorrectEye SISに対する信頼も高く、みな進んでCorrectEye SISを操作している。
実は、鳥羽社長のCorrectEye SIS導入に対してひとつの悩みは「果たして、みんなCorrectEye SISを上手に運用してくれるだろうか。」というところであった。機械を導入したはいいものの、その使い方が難しく、オペレーターが機械を敬遠してしまうことはよくある話である。
しかし、CorrectEye SISの操作は単純明快であり、素早く検査結果を表示してくれるので、どの印刷機機長も積極的にCorrectEye SISを使っているようだ。

これからの大三オフセット
大三オフセットは品質管理を一番に考えてきた印刷会社だ。平成22年にはJapanColor認証を取得。工場見学も多く行なっており、お客様の品質立ち合いや、その高品質の秘訣を知るために大三オフセットに見学に来る国内外の会社も多い。実際、インタビューに伺った直前にはタイとフィリピンの印刷会社が視察に来られていたようだ。
「印刷不況と言われ、それから何年も経つ。実際、刷っては捨てられるような情報媒体としての印刷物は年々減ってきてしまっている。しかし、世の中には手元に残しておきたい印刷物、価値ある印刷物があり、これらはこれからも確かに存在し続ける。これらの印刷物は決してデジタル化に淘汰されることはない。大三オフセットの勝負の土俵は、あくまでも美しく価値ある印刷物を刷る技術力と品質管理にこそある。我々のお客様は印刷会社、プロの印刷人である。色の標準化は当たり前であり、個々のお客様の微妙なニーズやこだわりに応える必要がある。その技術力こそ大三オフセットの強みである。CorrectEye SISを導入したことで品質の信頼はより高めることができると思うが、お客様の要求はこれからも更に高くなると思う。その要求に応えるために日々努力を続けていく。お客様と共に、美しく、価値のある印刷物を作り、お客様から一番に声をかけられる、信頼される印刷会社でありたい。」そう鳥羽社長は話す。
地域に愛され、生活を共にする印刷会社

〒174-0056 東京都板橋区志村1丁目3番12号
TEL:03-3969-9411
主要印刷物:学習参考書、写真集、パッケージ、金融商品カタログ等
設備概要:LITHRONE G37 H-UV(4色機)、LITHRONE S540 菊全(5色機)、
LITHRONE S440菊全(4色機)、CTP1台等
昭和39年、東京都港区にて設立、昭和53年に現在の板橋区に移動してから約30年、大三オフセットは地域との交流を非常に大切に考えている。印刷会社として、取引先との信頼を失わないためには工場をフル稼動する必要があり、その為、会社周辺には、大型トラックが常に行き来している状態だ。
しかし、これは同時に近隣住民に迷惑をかけかねないことでもある。このジレンマを解決するため、平成10年より毎朝8時に職員が地元の小学校の通学時間に交通整理を実施し、近隣住民の不安を取り除く活動を行なっている。
こういった社外での取り組みだけでなく、社内では従業員一人一人に対してもケアを大事にしている。鳥羽社長は従業員には長く働いてもらう環境づくりに励んでおり、"育てる"ことを重要視している。「従業員の成長の速度、技術力は人それぞれだけど、焦らすことはしない。従業員には、時間をかけても一人前に育つよう心掛けている。」と鳥羽社長は言う。
こうした社外、社内での『気遣う』取り組みがあって大三オフセットは50年以上の歴史を作り続けている。