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コラム

「今だからこそ品質保証」

中山良介

検査工程の標準化と工程品質保証

昨今ISO9001 の取得企業が増え、各社品質保障・工程保障に取り組まれていると思います。

これだけデジタル化が進み工程が短縮される中、いまだに人に頼らざるを得ない作業が校正、検査です。校正の入り口は原稿の内容から、誤字・脱字、言い回し、正しく入力されているか、それが本来の校正スタッフの仕事だったはず。しかしいつの日からか、クライアントからのゲラと、自社のプリントと内容が合っているか、あるいは校了後、自社で出力したプリントと色見本としてのプルーフの内容と合っているかの確認。またCTP プルーフとRIP が変われば検査が必要になり、プレート出力後もやはり検査が行われ、さまざまな工程で必要以上に検査が行われています。

これもだれが悪いとは言えないけれど、中間ファイルの取り回しとその都度の出力は、パソコン同士、プリンタとの伝言ゲームのようなものですが、相当正確なんですよ。でも話す側と聞く側のほんのちょっとした解釈の違いで、出力の結果が微妙に変わることがあります。だから恐ろしいことに、クライアントから預かったゲラ。自分で出力したゲラ。校了が出て色見本で出力したプルーフ。プレートの4 種類。出力しただけ出力結果は違う可能性があるわけです…。

以前に、ある仕事で某有名キャラクターが工程の途中で黒く化けたことがありました。通り掛かった人が偶然眺めて、「キャラ変わったの~?」。あの時は冷や汗が出ましたね。Illustrator でデータをいじってもう一度出力したら直ったけれど、原因は分かりませんでした。

 

あおり校正はやっていたのですが見落とし! ロゴやマークなど校正ポイントとしては見逃しやすいのでしょうか。出力したがどこに何が起こっているか分からない? それでは校正ではなくて間違い探しです。そんなさまざまなチェック・検査を確実にミスなく行わなければ品質保証・工程の保障はできません。

検版・検査ツール開発にあたり要求されたことは、単純にプリンタや用紙が変わることによる比較検査のほかに、

デザイナーの制作した生デザインデータと製版」

処理後のデジタルデータとの比較検査」

バージョンの違うシステム間の比較検査」

単ページデータと面付け後の向きが変わったデータの比較検査」

前回見本と刷り出し本紙の比較検査」などが上げられます。

 

また、グラビア・フレキソ関連ではA0 紙面をスキャンし検査を終了するまでに、3 分以内という時間も課題になりました。さらに実際の印刷物は紙の伸縮によるズレが著しく単純な色濃度差の比較では不可能。そこで開発されたのが、「曖昧(あいまい)検索エンジン:EyeMine 」であり検査時間のハードルもクリアしました。なんと厳しい比較検査に必要だったのは「正確な曖昧さ」だったのです。

 

色の保障は、チャートを測色し標準色との差分の数値を色差計で計測し、ラベルプリンタで印刷し証明書を添付する「サーティファイド・プルーフ」も普及してきました。校正検査の保障も、人の経験・集中力に頼るのではなく、確実に検査を行い、検査結果を客観的に管理することが、標準化と品質保証につながります。

GTBの5つの検査・検版ツール

Hallmarker (組み合わせを選ばない検査)

  • ゲラ↔︎プリント↔︎プルーフ、プルーフ↔︎CTPデータ、CTPデータ↔︎刷り取りの検査。

  • プリント時の微笑サイズの補正や、入力時の傾斜を自動で補正します。

  • 単面とページ面付けや、多面付け画像の検査も自動でサーチして検査。

  • 検査結果を画面で確認し、検査結果をプリントして保証書の作成が可能です。

 

HallmarkCenter (大量ページの自動検査)

  • 大量の入稿チェックや、出稿前の大量の検査を自動処理、自動検査を行います。

  • HotFolderによる自動運用で、制作オペレータによるチェックに対応。

  • ファイル名規則による自動検査と専用ファイル指示ツールでの自動検査。

 

Hallmarker for 21CFR (FDA21CFR対応)

  • Hallmarkerの機能とセキュリティで、アメリカ食品医薬品局の食品と薬に関する規則に対応。

  • 使用制限・検査内容・検査結果・アクセス記録を管理します。

Ken2Pa! (デジタル↔︎デジタル自動)

  • デジタルデータの位置やサイズ、RIPが異なる場合の自動検査

  • トンボの有り無しなどで位置の変わる場合の検査位置を自動サーチ

ImageCompare (デジタル↔︎デジタル)

  • デジタルデータの位置やサイズ、RIPが同一な場合の自動検査

  • 1Bit TIFF、8Bit TIFFに対応。

中山良介

1960年6月生まれ。Macが日本に上陸する前の時代の「いずみや」に入社(その後Tooに社名変更)暗室で今は無き、縦型製版カメラで紙焼きを撮る・・・その後(株)ぱどに転職。フリーペーパーの営業を3年ほど経験するが、DTP内製の流れで制作・出力に移動。その時にアナログ製版からDTPへ、始めはDTPと言ってもフィルム出力であった。締め切り後、組版、フィルムセッター2台で24時間出力しても間に合わなくなりCTP化。その時に「化かされないDTP」1BitTiffワークフローを構築。それが(株)GTBのBit-Throughとの出会いである。
そして次は印刷の(株)ウイル・コーポレーション(現:(株)ウィルコ)に転職。前から後までの工程の効率化と色調コントロールに従事。そんな経歴を生かして(株)GTBでBitThroughを使った印刷コンサルティングなど提案し、現在はQuadTechで輪転印刷機のカラーコントロールシステムコンサルタントと、今でも印刷から足を洗えない。
趣味はシーカヤック。みなとみらいのシーカヤック教室のインストラクターをしながら、会場まで漕いで行く為に通勤カヤッカーと呼ばれ、昨年は横浜の海を1500km走破(?)。週明けは色差計で日焼けした腕をLabで計測する・・・

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